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2024年9月2日改訂
「接着適用技術者養成講座」
第9回 講義の方針とカリキュラムの詳細
【講義の方針】
(1)先進・最新技術のレベルではなく、接着を用いるために必要で十分な知識と、接着に対するセンスを身
につけてもらう。
(2)接着に詳しくない技術者や接着に関する教育の機会が少ない中小企業の技術者にも役に立つ内容とする。
(3)化学や機械、統計・確率などの専門知識がない技術者でも理解しやすいように説明する。
(高校レベルの学力で理解できる内容とする。)
(4)実践的な内容と考え方を説明する。理論は、それらの裏付けとして必要な範囲で説明する。
(5)説明している事項がなぜ必要なのかの理由を説明して理解を助ける。
(6)設計、施工、管理時の目標特性値を明確に伝える。
(7)できるだけデーター、事例を含める。
(8)評価方法を具体的に示す。
(9)できるだけ勘どころやトラブル事例的内容を盛り込む。
(10)接着の欠点・課題も十分に説明する。
第9回(2024年度)接着適用技術者養成講座
第Ⅰ単元【1日目(10/30)前半】(9:30~12:30)
第1章 接着設計技術と接着生産技術(講師:原賀康介)
1.特殊工程の技術と設計・生産・管理
2.接着接合を取り巻く状況と課題
2.1 人的要因
2.2 技術的要因
2.3 生産性、コスト面
3.接着設計技術と接着生産技術
3.1 接着設計技術とは
3.2 接着生産技術とは
4.コンカレント・エンジニアリングの実践
5.自社で接着を行わず、接着作業を外注する場合
6.接着適用技術者に必要な知識とセンス
7.必要な技術や知識は、立場で異なる
第2章 接着の機能設計-接着接合の特徴・機能・効果と適用事例、接着の課題-(講師:原賀康介)
1.接着の機能設計
2.接着接合の特徴・機能と得られる効果
3.接着の欠点・課題
4.接着接合の適用事例(目的、機能の活用、効果)
5.接着の適用事例に見る接着機能の設計への活かし方
6.接着接合と他の接合方法の比較
第Ⅱ単元【1日目(10/30)後半】(13:20~17:00)
第3章 接着の基礎とメカニズム、接着剤の選び方 (講師:大槻直也)
1.接着剤とは
2.接着のしくみ、被着体と接着剤の間に働く引力
3.ぬれ、接着仕事、表面張力、SP値、バルクの凝集力
4.接着に関与する要因間の関係
5.表面処理と接着力向上メカニズム
6.接着接合への力のかかり方、接着接合の破壊状態
7.正しい接着剤の選び方
8.各接合法の長所・短所/接着の長所・短所
9.接着剤の分類
10.被着体の性質
11.接着剤の塗り方
12.接着剤の評価
13.接着剤に関係する法規制
第Ⅲ単元【2日目(10/31)前半】(9:30~12:30)
第4章 被着材の表面処理(講師:山辺秀敏)
1.表面処理の目的と分類
1.1 被着材の表面処理の目的(金属)
1.2 被着材(金属)表面処理の分類
2.被着材の理想表面と実存表面、接着界面の考え方
2.1 理想金属表面
2.2 実存金属表面
2.3 金属接着における影響因子
2.4 金属接着界面の考え方(アルミ合金の例)
2.5 金属における表面処理の必要性
2.6 界面における水の濃化
2.7 金属接着力低下の考え方
2.8 金属塗装における水による塗膜の密着性低下メカニズム
3.金属(普通鋼、アルミニウム、ステンレス鋼)の接着用表面処理とその効果
3.1 金属表面処理方法
3.2 普通鋼の表面処理Ⅰ
3.3 普通鋼の表面処理Ⅱ
3.4 シリコーター処理
3.5 アルミニウム合金の接着用表面処理
3.6 歯科用接着モノマー(Ni‐Cr およびCr‐Co 系合金等)
3.7 銅とポリイミドの接着における粗面化の効果
3.8 表面処理検討におけるポイントと注意点
3.9 参考:普通鋼の製造工程
3.10 表面・界面分析技術
3.11 接着耐久性の向上Ⅰ
3.12 接着耐久性の向上Ⅱ
3.13 接着耐久性の向上Ⅲ
3.14 接着耐久性の向上Ⅳ
3.15 接着耐久性の向上Ⅴ
3.16 各種接着用プライマー処理のまとめ
4.プラスチック類の接着用表面処理
4.1 被着材の表面に存在する異物と接着性向上
4.2 大気圧プラズマの分類
4.3 大気圧プラズマ処理
4.4 ステンレス/CFRE接着における大気圧プラズマ処理
第Ⅳ単元【2日目(10/31)後半】(13:20~17:00)
第5章 高品質接着を達成するための基本条件と作り込みの目標値(講師:原賀康介)
1.高信頼性・高品質接着とは
2.高品質接着達成のための開発段階での作り込みの目標値
2.1 接着部の破壊状態-凝集破壊率を高くする-
2.2 接着強度のばらつき-変動係数Cvを小さくする-
2.3 接着強度の分布の形
2.4 接着面の表面張力(表面自由エネルギー)を高くする
2.5 接着部の必要破断強度を確保する
3. 開発段階で達成すべき目標値 -まとめ-
4.接着の脆弱点はどこか -接着部の端部の界面-
第6章 材料設計と構造設計(講師:原賀康介)
1.材料設計と構造設計
2. 接着部に加わる力の種類と評価法
2.1 接着部の種々の形状
2.2 一般的な接着強度の測定方法
2.3 各種のせん断試験
2.4 基本的な力
2.5 単純ラップ引張せん断試験の結果に影響する因子
2.6 応力値ではないが、はく離試験は重要 -得られる情報-
3. 材料設計
3.1 接着剤の熱的特性 -ガラス転移温度(Tg)と接着強度-
3.2 接着剤、粘着剤の粘弾性特性
3.3 接着剤、粘着剤の硬さ、伸びと接着強度の関係
3.4 接着剤の流動特性 -粘度とチキソトロピー性-
3.5 被着材料の材料選定
3.6 接着剤の種類と特徴・欠点
4. 構造設計
4.1 接着剤の硬さと応力集中(せん断負荷端部)
4.2 接着層の厚さ
4.3 接着剤のはみ出し量
4.4 不連続性を回避する構造にする
4.5 類似部品の貼り間違いを防止する構造にする
4.6 盲穴への差込み接着
4.7 接着耐久性を向上させるための考慮点
4.8 検査を考慮した構造にする-確認用小穴を設ける
【付録1】接着剤の種類、特徴と使用上の注意点
【付録2】消去法による接着剤選定チェックリスト
【付録3】カタログを見るときの注意点、メーカーに確認すること
第Ⅴ単元【3日目(11/6)前半】(9:30~12:30)
第7章 接着接合部の力学 (講師:内藤公喜)
1.接着接合部に加わる力の種類
2.接着接合部の形状と応力解析
2.1 シアラグモデル(Volkersenモデル)
2.2 Goland-Reissnerモデル
2.3 ピールの力学(Winkler foundation モデル)
2.4 拘束の力学(ポアソン比の影響)
2.5 有限要素法
3.接着強度の測定方法、試験装置
3.1 静的試験(強度)
3.2 静的試験(吸収エネルギー)
3.3 他の要因
3.4 試験装置
4.測定結果に影響する諸因子
5.非破壊検査
6. 接着接合部の静的および疲労荷重下での力学特性評価の事例紹介
6.1 材料力学的評価(応力を用いた評価)
6.2 破壊力学的評価(エネルギーを用いた評価)
6.3 結合力モデルを用いた評価
7.まとめ
第Ⅵ単元【3日目(11/6)後半】(13:20~17:00)
第8章 接着の機能・特性を損なう「内部応力」の発生メカニズムと影響諸因子、低減法 (講師:原賀康介)
1.内部応力(残留応力)で生じる不具合
2.内部応力(残留応力)の種類
2.1 内部応力の分類
2.2 接着剤の硬化収縮応力
2.3 加熱硬化後の熱収縮応力
2.4 使用中の温度変化による熱応力
2.5 吸水膨潤応力
2.6 被着体の変形による応力
3.異種材接着における内部応力による不具合
3.1 各種の変形のモード
3.2 異種材料の嵌合接着
4.内部応力に影響するその他の因子
4.1 接着部の構造
4.2 接着剤の物性、部品の厚さ(剛性)
4.3 接着剤の塗布量、塗布位置
4.4 接着剤の硬化
5.内部応力の評価法
5.1 実験的方法
5.2 有限要素法で求める方法
6.接着層の内部応力の低減策
第9章 接着部の初期の必要平均破断強度、必要Cv値を簡易に見積もる『Cv接着設計法』
(講師:原賀康介)
1.『Cv接着設計法』とは
2.設計するときに知りたいこと
3.設計するときに考えねばならないこと
4.<設計許容強度>の低下要因と考え方
4.1 破壊状態と接着強度の分布の形
4.2 接着部に加わる力と発生不良率
4.3 要求信頼度 許容不良率と、許容不良率の上限強度
4.4 ばらつきの指標 -変動係数とばらつき係数-
4.5 工程能力指数
4.6 「工程能力指数」から「信頼性指数」へ
4.7 信頼性指数,許容不良率、ばらつき係数,変動係数の関係
4.8 劣化による接着強度の低下とばらつきの増大
4.9 接着強度の温度依存性 ―温度係数η―
4.10 接着強度を破断強度で考えてはいけない-内部破壊-
4.11 安全率
4.12 設計許容強度と接着部に加わる最大力の関係
4.13 <設計強強度>の低下要因と考え方 -まとめ-
5.必要な<初期室温平均破断強度>の算出式
5.1 初期室温でのばらつき係数を設定して求める場合
5.2 信頼性指数と初期室温での変動係数を設定して求める場合
5.3 【補足】計算式の求め方
6.計算例
6.1 初期室温での必要な平均破断強度と必要Cv値の計算例
-信頼性指数と初期のばらつき係数が規定されている場合-
6.2 初期室温での必要な平均破断強度とばらつき係数 の計算例
- 信頼性指数と初期の変動係数を設定して求める場合 -
6.3 (参考)界面破壊で変動係数が大きい場合の計算例
6.4 <Cv 接着設計法>のExcel計算シート
7.必要な強度と変動係数の見積後に行うこと
第Ⅶ単元【4日目(11/7)前半】(9:30~12:30)
第10章 接着耐久性 (講師:北條恵司)
はじめに 耐久性に影響する因子とは
1.疲労
1)疲労とは
2)試験機と試験片,応力比と周波数の決定
3)疲労線図の読み方と耐久限度曲線
4)疲労を受けた継手の残存強度
5)バルク(接着硬化物)の疲労特性と疲労のメカニズム
2.クリープ
1)クリープとは
2)バルクのクリープ試験結果
3)バルクの疲労とクリープの複合劣化
4)L Jの引張強度とクリープ強度の関係
3.強度のひずみ速度依存性
4.水分・熱による劣化
1)水分の接着部への侵入
2)DCB試験片の水分劣化とエネルギー開放率G1Cの関係
3)接着剤の構造劣化とは
4)吸水-乾燥を繰り返した接着剤
5)温度と引張~疲労~クリープ強度の関係
5.表面処理による耐久性向上例
ブラスト,レーザー加工,酸洗
6.き裂進展速度の測定
第Ⅷ単元【4日目(11/7)後半】(13:20~17:00)
第11章 接着の特性・信頼性の向上とコストダウンを両立させる『複合接着接合法』
(講師:原賀康介)
1.複合接着接合法とは
2.代表的な複合接着接合法
2.1 接着剤とスポット溶接の複合接合(ウェルドボンディング:WB)
2.2 接着剤とリベットの複合接合(リベットボンディング:RB)
2.3 接着+かしめ
2.4 その他の複合接着接合法
3.接着剤と他の接合法の役割の分担
3.1 接着剤の役割・機能
3.2 リベットなどの他の接合法の役割・機能
4.複合接着接合法の諸特性
4.1 各種接合法の強度の比較
4.2 接着強度のばらつきの低減
4.3 薄板でのスポット溶接強度の低下の補完
4.4 破断に対する冗長性の向上
4.5 接着強度の温度依存性の低減(高温接着強度の向上)
4.6 疲労特性の向上
4.7 接着の耐クリープ性の向上
4.8 応力負荷状態での接着の耐湿性の向上
5.まとめ
第12章 接着の工程・設備・品質管理における留意点 (講師:原賀康介)
1.接着生産技術
2.接着工程における留意点
2.1 接着の工程
2.2 部品の素材
2.3 素材の部品加工(形状形成)
2.4 部品の二次加工
2.5 接着の前工程
2.6 接着工程
2.7 接着の後工程
2.8 接着の検査、保管、保護・梱包
2.9 特殊工程作業における自動化と手作業の棲み分け
2.10 トラブル時の停止-工程の連続性を考慮する-
3.接着の特異性を認識した上での品質設計・品質管理
3.1 接着の特異性
3.2 特殊工程技術における品質設計
3.3 特殊工程技術における品質管理
3.4 接着不良が発生した時のチェックポイント
4.まとめ
【付録】接着剤の特徴、選定・管理のチェックリスト